難波の屋上に、森がある。

難波でちょっと休憩したい。そんなとき、カフェを探すのもいいけれど、今日は上へ行ってみよう。なんばパークスのエレベーターに乗って、8階へ。そこからもうひとつ上へ。9階までやって来ると、さっきまで歩いていた難波の街とは、ちょっと違う景色が待っている。木がある。小径がある。風が吹いている。ここは、なんばパークスガーデン。ショッピングモールの屋上にある、小さな森だ。
まずは、いちばん上まで。
おすすめは、最初に8階までエレベーターで上がってしまうこと。そこから9階へ行き、あとは庭を歩きながら、ゆっくり下りていく。急ぐ必要はない。というより、ここでは脇道にそれた方が面白い。歩いていると、「ん? こっちにも道があるぞ」という小径が次々と現れる。入ってみる。すると、小さな広場があったり、デッキがあったり、ひっそり椅子が置かれていたりする。ショッピングモールで道草をする。なんだか不思議だけれど、それがいい。
今日の目的地は、ベンチ。

なんばパークスガーデンには、いろんなところに座る場所がある。大きな広場のベンチもいい。でも、せっかくなら奥へ。木々の間に、ぽつんと置かれた椅子を探してみる。座ってしまえば、やることはない。スマホを見る必要もない。水の音を聞いたり。風に揺れる葉っぱを眺めたり。遠くから聞こえてくる街の音を、なんとなく聞いていたり。完全に静かなわけじゃない。街はちゃんと、すぐそこにいる。そのくらいが、ちょうどいい。
難波で、ごろり。

庭園の途中には、人工芝の小さな丘がある。ここがいい。座ってもいいし、天気がよければ寝転がってしまってもいい。上を見れば空。少し顔を上げればビル。下へ降りれば、人でいっぱいの難波。都会から少し逃げて、ちょっと休む。
ジャングルみたいな道もある。

さらに下へ歩いていくと、水の流れる音が聞こえてくる。せせらぎの横には、緑に囲まれた小径。少し南国っぽくて、ここだけ妙に植物が元気だ。その奥にも、また椅子がある。なんばパークスガーデンは、たぶん「椅子を探す場所」として歩くと面白い。今日はどこに座ろう。そんなことを考えながら歩く。ずいぶん平和な悩みだ。
ショッピングモールなのに、渓谷。
そして、歩いていて面白いのは庭だけじゃない。なんばパークスそのものが、ちょっと変わった建物だ。建物は直線ではなく、ぐにゃりと曲がっている。巨大な岩肌の間を歩いているような場所もある。ショッピングモールなのに、どこか渓谷っぽい。だから、買い物をしなくても歩いているだけで楽しい。「何を買うか」ではなく、「どこを歩こうか」。そんなショッピングモールも、悪くない。
買い物をしない、なんばパークス。
難波へ来ると、つい予定を作ってしまう。買い物をして。ごはんを食べて。映画を見て。次の店へ行く。でも、なんばパークスガーデンでは、何もしなくてもいい。コーヒーを一本買って、お気に入りの椅子を探して、そこに座る。入場料は無料。南海なんば駅から、ほんの数分。難波の真ん中なのに、ちゃんと空があって、風があって、木陰がある。今日は買い物じゃなくて、森へ行こう。行き先は、なんばパークスの屋上。
Infomation
なんばパークス
入場料:無料
営業時間:10:00-24:00
アクセス:南海なんば駅徒歩3分

